第4回 在宅医療、検査
医学管理料の指摘事項が膨大なため今回は後半部分について。
本欄は、あくまで岐阜事務所が指摘した事項であり、適正を欠く部分も見受けられるので参考程度にお目通しいただきたい。なお、指導を受けられた先生で指摘事項に納得がいかない場合には曖昧にすることなく、岐阜事務所に納得がいくまで説明を求めるか、保険医協会に相談いただきたい。
【凡例】
① 重複記載を避けるため、次の方法で掲載した。
ア)「・」は◇の指摘事項の後に続く、指摘内容である。
イ)文言が一部異なる程度の指摘事項にはその箇所に※を付け、異なる点を列挙した。
② 指摘事項末尾の( )内の数字は、当該指摘を受けた医療機関数である。
|
■在宅医療
【在宅療養指導管理料の算定方法】
◇ 指導管理料は算定要件として、在宅療法を指示した根拠、指示事項、指導内容の要点を診療録に記載する必要がある。(14)
・これらの診療録記載の不備例が散見された。(13)
※指摘された管理料
1)在宅自己注射指導管理料(4)
2)在宅自己導尿指導管理料(4)
3)在宅酸素療法指導管理料(3)
4)在宅持続陽圧呼吸療法指導管理料(2)
・これらの診療録への記載が無く、在宅酸素療法指導管理料(その他の場合)の算定が不可と判断される例が散見された(自主返還の対象)。(1)
【血糖自己測定器加算】
◇ 血糖自己測定器加算の算定において、実際の患者血糖自己測定回数に応じた六段階の加算料算定がなされていない例が認められた。(13)
・実際の測定回数と六段階加算料と一致しない例の差額が自主返還の対象。(12)
・今後は、これら実際の測定回数と6段階加算料との一致を確認すること。(1)
【注入器用注射針加算】
◇ 注入器用注射針加算の算定は、厚生労働大臣が別に定める注射薬の自己注射を行っている入院中の患者以外の患者に対して、注入器用の注射針を処方した場合に加算できるが、注射針を処方していない患者に対して算定していた例が認められた(自主返還の対象)。(1)
【特養入所者の医療】
◇ 保険医が特別養護老人ホーム等の配置医師である場合は、配置されている施設に入所している患者に対して行った診療については、介護報酬、自立支援給付、措置費等の他給付において評価されるため、初診料、再診料、小児科外来診療料及び往診料を算定することはできないが、管理者が、特別養護老人ホームの配置医師となっている施設入所者に対し往診料を算定していた例が認められた(自主返還の対象)。(1)
■検 査
【一般的事項】
◇ 保険診療における各種検査は、診療上必要があると認められる範囲で段階的に必要最小限に施行されるべきである。(25)
◇ 診療録の記載から判断して、検査項目や検査回数に関して、その必要性の根拠が乏しい例が散見された(自主返還の対象)。(6)
【内分泌学的検査】
◇ 「甲状腺機能異常の疑い」にもかかわらず、甲状腺機能関連の症状や甲状腺触診所見の診療録記載がないTSH・FT3・FT4精密検査施行例は、その必要性が明確でないので診療録記載には十分注意を払うこと。(1)
【腫瘍マーカー】
◇ 腫瘍マーカー検査料は、悪性腫瘍の患者であることが強く疑われる者に対して検査を行った場合に算定できる。診療録記載上、当該検査の必要性の根拠が乏しく健康診断的と疑われる例が認められた。今後は、「患者の自覚症状、体重減少、貧血進行、画像診断所見」等悪性腫瘍を強く疑った根拠について診療録記載を残すこと。(2)
◇ 「前立腺癌の疑い」のPSA精密検査例で前立腺癌関連の診療録記載が全く無く、その検査の必要性が乏しいと判断された例が認められた(自主返還の対象)。(1)
◇ 「前立腺癌の疑い」の傷病名で、PSA検査を算定した同日に医学的に判断して必要が無いPAT、γ-セミノプロテインの検査が算定されていた(自主返還の対象)。(1)
【感染症免疫学的検査】
◇ 「溶連菌感染症」の傷病名でA群β溶連菌迅速検査を同月2回算定しているが、これら2回検査の必要性の根拠が乏しい例が認められたので、今後は、検査の必要性の根拠を診療録に残すこと。(1)
◇ 術前のスクリーニング検査として、HIV-1、2抗体価検査の算定は、輸血歴、HIV感染症を疑わせる自他覚症状の有無等から判断して、当該検査の必要性がある場合に限られるが、診療録記録上、当該検査の必要性の根拠に乏しい例が認められた(自主返還の対象)。(1)
【血漿蛋白免疫学的検査】
◇ 「アレルギー性鼻炎」(※)の傷病名で特異的IgE精密▲▲種類測定が施行されているが、診療録記載から判断して、この検査の必要性の根拠が乏しい例が認められた。今後は、アレルギー性関連の家族歴、既往歴、症状発現状況、生活環境、診察等に基づき、当該検査の必要性に関する診療録記載を行うこと。(12)
※その他に指摘された傷病名
1)「蕁麻疹」
2)「アトピー性皮膚炎」
3)「気管支喘息」
【微生物学的検査】
◇ 細菌薬剤感受性検査料の算定は、細菌培養同定検査で病原性細菌が陽性である場合のみ算定可能である。両者の自動算定疑い例が認められた。(1)
◇ 以下の例において診療録の記載から判断して検査の必要性の根拠が乏しい例が認められたので、今後は、当該検査の必要性の根拠及び検査結果の治療上反映等の診療録記録を残すこと。
(例)4カ月連続して、初診として急性上気道感染関連の傷病名を複数付け(急性鼻炎、咽頭炎、喉頭炎、副鼻腔炎等)、細菌培養検査料(気道)と細菌薬剤感受性検査料を4カ月連続で算定していた。(1)
【精密眼底検査】
◇ 精密眼底検査の算定に関して、同月内に複数回検査を施行する場合は、診療録にその必要性について記載を残すこと。(2)
・連月2回精密眼底検査を算定した例において、眼底検査所見の乏しい例が散見された(自主返還の対象)。(1)
◇ 精密眼底検査料に関して、診療録から判断して必要性の根拠が乏しい同月内に複数回算定していた例が認められた(自主返還の対象)。(1)
◇ (両)眼底検査において、診療録の記載からその検査回数の必要性の根拠が乏しい例が散見された(自主返還の対象)。(1)
◇ 精密眼底検査の所見記載において、単に「n.p」の記載のみではなく、眼底乳頭部、眼底黄斑部、網膜血管等の項目別所見を具体的に記載すること。(1)
◇ 精密眼底検査の結果記録(診療録)において、病名の診断根拠となるべき、眼底乳頭部病変、黄斑部病変、網膜血管病変等の画像所見を具体的に診療録記載すること。(2)
◇ 若年者の前眼部傷病名(近視、結膜炎等)患者で、再診日に精密眼底検査を算定する場合は、その検査の必要性に関する診療録記載を残すこと。(1)
◇ 「うっ血乳頭の疑い」「眼底出血」等の傷病名にて、再診時に精密眼底(両)検査料を算定しているが、診療録に眼底異常所見の記載が全くなく、当該検査の必要性の根拠が全く乏しい例が認められた(自主返還の対象)。(1)
【蛍光眼底法カメラ撮影と眼底カメラ検査料】
◇ 同一日の蛍光眼底法カメラ撮影と眼底カメラ検査料の同時算定は、主たるもののみの検査料とすべきであるが、両者の同時算定が散見された(自主返還の対象)。(1)
【認知機能検査その他の心理検査】
◇ 医科診療報酬点数表のD285「認知機能検査その他の心理検査」の3(操作と処理が極めて複雑なもの)として450点を連月3回算定した患者の診療録を確認したところ、箱庭療法を参考とした臨床心理検査であった。
医科診療報酬点数表による臨床心理・精神心理検査については、平成22年3月5日付保医発0305第1号通知「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」に示されている検査以外は算定できない(自主返還の対象)。(1)
(岐阜県保険医新聞2011年12月10日号)
|