東海ブロック4保険医協会は昨年10月に合同で「税務調査アンケート」を行った。これは隔年に行っている名古屋国税局交渉に向けて、税務調査の実態を調査し問題点の改善を要望するために2年に1度行っているものである。
調査は開業医会員(医科866人、歯科579人)に調査票を送付、その内過去5年間に税務調査を受けられた方に回答をお願いし、医科35人、歯科9人から回答が寄せられた。

1人か2人で1日2日、調査して修正なしも
調査時期は夏から秋にかけてが多いが、この1、2年は1月から3月までの調査も増えており、6月と12月以外はいつ調査が行われるかわからない状況になっている。
調査員はほとんどが1人か2人で、調査日数も1日か2日で終了している。中には延べ30日もかけて調査しているケースがあるが、他の回答欄を見ても特別な状況は見受けられず理由は判断できなかった。
調査の結果、修正申告をおこなったのは44人中34人で、9人は当初の申告がそのまま認められている。1人はまだ協議中で結果が出ていない。
修正申告をした34人の内1人は「きちんとした説明は無かった」と回答しているが、33人は説明を受け、24人が「納得した」と回答し、10人が「納得していない」としている。
44人の回答者のうち1人だけ関与税理士はいないと回答しているが、他の43人には税理士が関与しており、調査時も42人が税理士立会いで調査を受けている。
調査は大体調査の申し出があってから2週間後に行われることが多く(17人)、「都合の良い日」(15人)に行ったケースも多い。いきなり調査というケースはなかった。調査日の変更は14人が行っている。

医院のホームページ、税務署員に見られている
調査の申し出があった際、理由を聞いた人は15人で34%に過ぎないが、税務署員が回答した調査理由には以下のような例があった。「専従者給与が高い」「人件費が高い」「利益が下がったので」「金属の収入漏れの疑い」「ホームページで紹介されている設備と減価償却費の費用の相違」「土地の売買」など具体的なものもあるが、「定期的なもの」「長期間調査をしていないので」など抽象的な理由も多い。
まだ行われているカルテ開示、持ち帰り
カルテ開示は7人が求められ5人が見せている。また20人が帳簿の持ち帰りをされている。カルテ開示や持ち帰りは行わないよう繰り返し名古屋国税局に申し入れているが、まだまだ行われている実態が判明した。
税理士の対応については適切だったとの回答が多いが、「いいかげんな税理士の事務処理のため多額の修正申告行うことになった」と憤りを述べる会員も複数あった。
経費は必要性の主張を
収入では自費診療についての点検が多く、ワクチンの仕入数と申告数を照らし合わせるなど細かな点検がおこなわれている。支出では交際費や従業員旅行への指摘が多く、旅行の参加者名や歳暮の送付先など領収書への記入が求められている。
保険医協会会費を否認されたという回答があったので、協会より税務署に抗議したところ「協会会費は認めている」との回答があった。協会会費は経費になることは、協会の活動内容からしてゆるぎないものであるので自信を持って主張していただきたい。否認されるようなことがあれば協会にご連絡いただきたい。
一方、「交際費について、署に出向いて必要性を説明してすべて認められた」というケースもあり、先生の考えを主張し交渉することが重要と感じられた。その他、車の私用経費、親族、スタッフの治療費の扱い、契約書の収入印紙漏れなどの指摘が見られた。
税務署員の態度は概ね丁寧な対応であったとの回答が多い。細かな指摘を受けたり、調査ということで緊張を強いられることもあるが、納得いかないことがあれば落ち着いて協議・交渉することが重要である。
医院経営について日頃感じていることなど自由意見欄の中から一部を以下に紹介する。
寄せられた意見
・確実に患者の来院数は減り収入は減っている。
・窓口負担を気にして定期的な検査を行わない人が多くなった。受診間隔が延びていると感じる。
・検査機器や検査費用が高く大変苦労する。
・マイナス改定が続き、検査件数の増加が必要であるも、厚労省の指導もあり思ったように医療ができない。
・消費税が上がると、医院が消費税の最終納入者で終わらせては困る。今でも困っていますので医療費に消費税をかけるべきです。
・診療報酬の原価(人手、技術、物品等)とのバランスと根拠を示して欲しい。
・薬品の仕入に消費税がかかること、行政委託の予防接種収入が確定申告時に消費税をとられるのに納得がいかない。
・当院が支払った消費税の負担分がなぜ控除できないのか。輸出企業は消費税が還付されています。
・歯科は医療行為だけでなく材料、技工所への支払など付随するものへの支払が多い。その点を考慮して歯科点数の見直しを強く希望します。
・税金が重いので勤労意欲をなくします。医療界全体のモチベーションの低下につながる恐れあり。
・医療機器の進歩目覚しく高額化している。当院も新機器の導入には前向きだが、所詮、個人経営で資金に限界があり、資金回収も長期にわたるため納税の重圧感が否めない。ぜひ税制改正を願いたい。
・不況が長引く中で受診回数、受診人数が減ってきているので定額窓口負担は患者にとっても医院にとっても問題です。
・経営的には一層の努力が必要である。患者負担増による受診率低下も起こり得る。厳しい時代は眼前である。
(岐阜県保険医新聞2012年1月10日号)
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