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令和元年度【歯科】個別指導での指摘事項
   【歯科】 個別指導での指摘事項 (第1回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

1 診療録等

○ 診療録は保険請求の根拠であることを認識し、必要な事項を十分に記載すること。

○ 診療録は保険請求の根拠となるものであり、歯科医師は診療の都度、遅滞なく必要事項の記載を十分に行うこと(特に、症状、所見、治療計画等について記載内容の充実を図ること)。

○ 診療録の記載方法、記載内容に次の例が認められたので改めること。

 ・訂正又は追記した者及び日時が不明である。

 ・療法・処置欄への1行に対し2行の記載がある。

 ・二本線で抹消せず塗りつぶし又は修正液による訂正がある。

 ・判読困難な記載が認められたので改めること。

 ・診療行為の手順と異なった記載が認められたので改めること。

○ 傷病名に(P、C、Pul、Per)の略称病名で病態に係る記載がない。

○ 傷病名を適切に記載していない。

○ 実際に診療を担当した保険医が、診療の都度、遅滞なく的確に記載すること。

○ 複数の保険医が従事する保険医療機関においては、診療の責任の所在を明確にするために、診療を担当した保険医は診療録を記載した後、署名又は記名押印すること。

○ パーソナルコンピューター等電子機器により診療録を作成する場合は、診療の都度、診療内容を確認し、責任の所在を明確にするため署名又は記名押印を行うこと。

○ レセプトコンピュータ等OA機器により作成した診療録の記載方法、記載内容について、診療を行った保険医が記載内容の確認を行わず、かつ、署名又は記名押印がない。

○ 歯科疾患管理料に係る提供文書の原本を診療録に添付し、写しを患者等に提供している例が認められたので、患者等に文書の原本を提供し診療録に当該文書の写しを添付すること。

○ 診療録第1面(療担規則様式第一号(二)の1)の傷病名欄について、正式な傷病名を記載すること。

○ 診療録第1面(療担規則様式第一号(二)の1)の記載内容に次の不備な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・終了年月日、転帰、主訴、口腔内所見について記載がない。

 ・歯科医学的に診断根拠のない、いわゆるレセプト病名が認められる。

 ・開始年月日、終了年月日、転帰について記載がない又は記載が不十分である。

 ・部位、傷病名、開始年月日、終了年月日、転帰、主訴及び口腔内所見に係る記載がない。

○ 診療録第2面(療担規則様式第一号(二)の2)の記載内容に次の不備な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・所見、処置内容、指導内容、検査結果、診療方針、部位について記載が不十分。

 ・症状、所見、指導内容、検査結果、画像診断所見、医学管理等の内容、診療方針の記載が画一的又は記載が不十分。

 ・症状、所見、処置内容、指導内容、検査結果、画像診断所見、医学管理等の内容、診療方針の記載がない又は記載が不十分。

 ・症状、所見、処置内容、検査結果、診療方針の記載が不十分である。

 ・処置内容、部位の記載が誤っている。

 ・処置内容の記載がない。

 ・処置内容について記載が不十分。

 ・一部負担金徴収額について記載がない。

 ・部位を誤って記載している。


2 歯科技工指示書

○ 歯科技工指示書に記載すべき内容に不備が認められたので改めること。

 ・設計、使用材料、歯科医師氏名、診療所の所在地。


3 基本診療料等

【 初・再診料の加算】

 ・特別な関係にある施設等に訪問診療を行い、初・再診料を算定した際、誤って再診時歯科外来診療環境体制加算及び明細書発行体制等加算を算定している例が認められた。


【 歯科診療特別対応加算】

 ・算定要件を満たしていない歯科診療特別対応加算を算定している例が認められた。

 ・歯科診療特別対応加算に係る診療録に記載すべき算定した日の患者の状態について、記載が不十分又は画一的な例が認められたので、個々の患者の状態に応じて適切に記載すること。


平成30年度の個別指導結果
■個別指導…概ね妥当:1件、経過観察:8件、再指導:11件
■新規個別指導…概ね妥当:14件、経過観察:5件、再指導:1件

(岐阜県保険医新聞2020年8月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第2回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

4 医学管理等

【歯科疾患管理料】

○ 算定要件を満たしていない歯科疾患管理料を算定している。(自主返還の対象)

○ 1回目の管理計画(患者の歯科治療及び口腔管理を行う上で必要な基本状況(全身の状態、基礎疾患の有無、服薬状況、喫煙状況を含む生活習慣の状況等)、口腔の状態(歯科疾患、口腔衛生状態、口腔機能の状態等)、必要に応じて実施した検査結果等の要点、治療方針の概要等、歯科疾患の継続的管理を行う上で必要となる情報)を診療録に記載していない。

○ 歯科疾患管理料を算定した月に、当該管理に係る要点について診療録に記載していない。

○ 2回目以降の管理を行う際に、管理計画に変更があった場合において、変更の内容を診療録に記載していない。

○ 1回目に患者の主訴に関する管理を開始し、2回目以降に歯周病やその他の疾患も含めた管理を行う場合に、新たな検査結果や管理計画の変更点について、患者等に説明した内容を診療録に記載していない。

○ 継続的管理を行っていない。

○ 歯科疾患管理料を算定した月に、診療録に記載すべき管理に係る要点について、記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 診療録に記載すべき1回目の管理計画の記載内容に次の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 患者の歯科治療及び口腔管理を行う上で必要な基本状況(全身の状態、基礎疾患の有無、服薬状況、喫煙状況を含む生活習慣の状況等)

○ 口腔の状態(歯科疾患、口腔衛生状態、口腔機能の状態等)

○ 治療方針の概要等

○ 歯科疾患の継続的管理を行う上で必要となる情報

○ 算定要件を満たしていない文書提供加算を算定している。(自主返還の対象)

○ 患者等に提供した管理計画書の写しを診療録に添付していない。


【総合医療管理加算】

○ 総合医療管理加算を算定する場合は当該疾患の担当医からの服薬状況等を含む情報提供を受けるよう留意すること。


【周術期等口腔機能管理計画策定料】

○ 算定要件を満たしていない周術期等口腔機能管理計画策定料を算定している。(自主返還の対象)

○ 患者等に提供すべき管理計画書を作成していない。(自主返還の対象)


【周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)・周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)】

○ 算定要件を満たしていない周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)・周術期等口腔機能管理料(Ⅱ)を算定している。(自主返還の対象)

○ 管理報告書を作成していない。(自主返還の対象)

○ 管理報告書に記載すべき口腔内の状態の評価、具体的な実施内容や指導内容について、記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。(自主返還の対象)


【歯科衛生実地指導料】

○ 算定要件を満たしていない歯科衛生実地指導料1を算定している。(自主返還の対象)

○ 歯科衛生士に行った指示内容等の要点を診療録に記載していない。(自主返還の対象)

○ 歯科衛生実地指導料1を誤って算定している。(自主返還の対象)

○ 診療録に記載すべき内容(歯科衛生士に行った指示内容等の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 歯科衛生実地指導料について、患者に提供すべき当該実地指導に係る文書を必要に応じ、適切に作成すること。

○ 歯科衛生実地指導料について、情報提供文書に記載すべき実地指導を行った時間が、画一的に記載されているので、実態に沿った適切な実施時刻(開始時刻と終了時刻)を記載すること。

○ 歯科衛生実地指導料について、情報提供文書に記載すべき内容を適切に記載すること。

○ 歯科衛生実地指導料について、診療録に記載すべき内容(歯科衛生士に行った指示内容等の要点)が画一的に記載されているので、個々の症状に応じて適切に記載すること。


【歯周病患者画像活用診断料】

○ 歯周病患者画像活用指導料について、撮影した口腔内カラー写真の診療録添付又はデジタル撮影した画像の電子媒体への保存を行っていない例が認められたので改めること。(自主返還の対象)


【歯科特定疾患療養管理料】

○ 算定要件を満たしていない歯科特定疾患療養管理料を算定している。(自主返還の対象)

○ 症状及び管理内容の要点を診療録に記載していない。(自主返還の対象)

○ 診療録に記載すべき症状及び管理内容の要点について、記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


【歯科治療時医療管理料】

○ 診療録に記載すべき内容(管理内容、モニタリング結果)について記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


【診療情報提供料(Ⅰ)】

○ 診療情報提供料(Ⅰ)について、他の医療機関から患者の受診内容の情報提供を受けた場合に算定している。(自主返還の対象)

○ 検査結果や治療内容に関する問い合わせの場合に、診療情報提供料(Ⅰ)を誤って算定している。(自主返還の対象)

○ 診療内容の報告について、診療情報提供料(Ⅰ)を誤って算定している。(自主返還の対象)


【新製有床義歯管理料】

○ 算定要件を満たしていない新製有床義歯管理料「1 2以外の場合」を算定している。(自主返還の対象)

○ 患者等に提供した文書の写しを診療録に添付していない。(自主返還の対象)



(岐阜県保険医新聞2020年9月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第3回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

5 在宅医療

○ 診療録に記載すべき内容(患者の病状に基づいた訪問診療計画の要点)について、画一的に記載している例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 診療録に記載すべき内容(患者の病状に基づいた訪問診療計画の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 診療録に記載すべき内容(歯科訪問診療の際の患者の状況等)について、記載の不十分な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。


【在宅歯科医療推進加算】

○ 規定された在宅療養患者以外の患者に対して在宅歯科医療推進加算を算定している例が認められたので改めること。


【歯科疾患在宅療養管理料】

○ 管理計画に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・患者の歯科治療及び口腔管理を行う上で必要な全身の状態(基礎疾患の有無、服薬状況等)

 ・口腔の状態(口腔衛生状態、口腔粘膜の状態、乾燥の有無、歯科疾患、有床義歯の状況、咬合状態等)


【歯科訪問診療補助加算】

○ 歯科訪問診療補助加算について、診療の補助を行った歯科衛生士の氏名を診療録に記載していない例が認められたので改めること。


【歯科訪問診療料】

○ 算定要件を満たしていない歯科訪問診療1を算定している例が認められたので改めること。

○ 同一建物で複数の患者を診療したにもかかわらず、歯科訪問診療1を算定している。

○ 不適切な歯科訪問診療1、2及び3を算定している例が認められたので改めること。

○ 診療時間が20分未満の場合について、歯科訪問診療料の所定点数で算定している例が認められたので改めること。

○ 診療録に記載すべき内容について、記載の不十分な例が認められたので、必要な事項を適切に記載すること。

 ・実施時刻(開始時刻と終了時刻)

○ 歯科訪問診療料について、診療録に記載すべき患者の状態等の記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 歯科訪問診療料について、診療録に記載すべき内容(患者の病状に基づいた訪問診療計画の要点)について、記載の不十分な例が認められたので改めること。

○ 保険医療機関の所在地と訪問先の所在地との距離が16kmを超えていたものに対して、誤って歯科訪問診療料及びその他の特掲診療料を算定している例が認められたので改めること。

○ 不適切な歯科訪問診療2及び3を算定している例が認められたので改めること。


【訪問歯科衛生指導料】

○ 訪問歯科衛生指導料について、情報提供文書に記載すべき内容(実地指導を行った歯科衛生士等の氏名)を正確に記載するよう留意すること。

○ 訪問歯科衛生指導料について、診療録に記載すべき内容(歯科衛生士等に指示した内容、指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訪問した日の患者の状態の要点等)について、画一的に記載しており、かつ、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。


6 検査

【歯冠補綴時色調採得検査】

○ 色調比較可能な天然歯がない場合に、算定できない歯冠補綴時色調採得検査を誤って算定している例が認められたので改めること。

○ 算定要件を満たしていない歯冠補綴時色調採得検査を算定している例が認められたので改めること。

 ・撮影した口腔内カラー写真を歯科技工指示書及び診療録に添付又はデジタル撮影した場合の当該画像を電子媒体に保存、管理していない。


【電気的根管長測定検査】

○ 算定要件を満たしていない電気的根管長測定検査を算定している例が認められたので改めること。

○ 検査結果を診療録に記載していない。


7 画像診断

○ 算定要件を満たしていない画像診断における診断料を算定している例が認められたので改めること。

 ・歯科エックス線撮影を行った場合に、写真診断に係る必要な所見を診療録に記載していない。

 ・歯科パノラマ断層撮影を行った場合に、写真診断に係る必要な所見を診療録に記載していない。

 ・歯科エックス線撮影、歯科パノラマ断層撮影を行った場合に、写真診断に係る必要な所見を診療録に記載していない。

 ・歯科パノラマ断層撮影、歯科用3次元エックス線断層撮影を行った場台に、写真診断に係る必要な所見を診療録に記載していない。

○ 歯科エックス線撮影又はパノラマ断層撮影による診断が困難か否かについて、診療録への記載不十分であり、歯科用3次元エックス線断層撮影の必要性が判断できない例が認められたので、記載内容の充実を図ること。

○ 診療録に記載すべき写真診断に係る必要な所見について、画一的な記載及び記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

 ・歯科エックス線撮影

 ・歯科パノラマ断層撮影

 ・歯科用3次元エックス線断層撮影

○ アナログ撮影について、デジタル撮影の所定点数で算定している例が認められたので改めること。

○ 必要性の認められない歯科パノラマ断層撮影を算定している例が認められたので改めること。

○ 不適切な画像診断に係る一連の費用を算定している例が認められたので改めること。

○ 歯科エックス線撮影において、治療に必要な部位が撮影されていない。

○ 撮影した歯科エックス線写真において現像処理が適切ではない例が認められたので、適切に取り扱うこと。

○ 撮影した歯科パノラマ断層写真において、現像処理が適切でなく診断に利用できない例が認められたので、改めること。

○ 歯科エックス線撮影を行った場合に、診療録に記載すべき内容(写真診断に係る必要な所見)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 歯科パノラマ断層撮影を行った場合に、診療録に記載すべき内容(写真診断に係る必要な所見)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。



(岐阜県保険医新聞2020年10月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第4回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

8 投薬

○ ペリオフィール歯科用軟膏を誤って、ペリオクリン歯科用軟膏として算定している例が認められたので改めること。

○ 処置内容、症状にかかわらず、画一的な投薬をしている例が認められたので、症状、経過等を考慮のうえ、投与量をその都度決定すること。

○ 医薬品医療機器等法の承認事項(適応(効能・効果)、用法(用法・用量))からみて、不適切な投薬が認められたので改めること。

 ・適応外(ムコスタ錠100mg、レバミビド錠100mg、シナール配合錠、ガスロンN・OD錠2mg、イルソグラジンマレイン酸塩錠2mg、プロマックD錠75mg)

 ・過剰投与(カロナール500mg)

 ・禁忌投与(トロンビン液モチダとトランサミン注)


9 リハビリテーション

【歯科口腔リハビリテーション料1】

○ 歯科口腔リハビリテーション料1について、診療録に調整方法及び調整部位又は指導内容の要点の記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 診療録に記載すべき内容(調整方法及び調整部位又は指導内容の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 算定要件を満たしていない歯科口腔リハビリテーション料1「1 有床義歯の場合」を算定している例が認められたので改めること。

 ・整方法及び調整部位又は指導内容の要点を診療録に記載していない。


【歯科口腔リハビリテーション料2】

○ 算定要件を満たしていない歯科口腔リハビリテーション料2を算定している例が認められたので改めること。


【摂食機能療法】

○ 摂食機能障害者に該当しない場合に、摂食機能療法を算定している例が認められたので改めること。


10 歯周治療

【歯周病検査】

○ 歯周病検査を実施する場合は、1口腔単位で行うよう留意すること。

○ 算定要件を満たしていない歯周基本検査を算定している例が認められたので改めること。

 ・必要な検査結果を診療録に記載又は検査結果が分かる記録を診療録に添付していない。

○ 歯周基本検査について、歯の動揺度の記載に不備な例が認められたので、適切に記載すること。

○ 算定要件を満たしていない歯周精密検査を算定している例が認められたので改めること。

 ・必要な検査のうち、プラークチャートを用いたプラークの付着状況を実施していない。

○ 「歯周病の診断と治療に関する基本的な考え方」(平成30年3月 日本歯科医学会)を参照し、歯科医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。


【歯周基本治療処置】

○ 歯周基本治療(スケーリング・ルートプレーニング)において、歯数を誤って算定している例が認められたので改めること。

○ 歯周基本治療処置に含まれ別に算定できない薬剤料を誤って算定している例が認められたので改めること。

○ 算定要件を満たしていない歯周基本治療処置を算定している例が認められたので改めること。

 ・使用した薬剤名を診療録に記載していない。


【診断等】

○ 「歯周病の診断と治療に関する基本的な考え方」(平成30年3月 日本歯科医学会)を参照し、歯科医学的に妥当適切な歯周治療を行うこと。

○ 歯周病検査、画像診断の結果が診断、治療に十分活用されず、診断根拠、治療方針、治癒の判断及び治療計画の修正等が不明確であるので改めること。

○ 歯周病に係る治療計画等の診療録への記載が不十分であり、診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。

○ 歯周病に係る(症状、所見、治癒の判断、治療計画)等の診療録への記載が不十分であり、診断根拠や治療方針が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。


【補綴治療への移行】

○ 歯周病患者の補綴治療は、補綴予定部位の当該歯の病状安定後又は治癒後に行うことが望ましいため、歯周治療後の歯周病検査、画像診断等による適切な治癒確認または症状確認を行ったうえ、補綴治療を開始すること。



(岐阜県保険医新聞2020年11月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第5回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

11 処置

【う蝕処置】

○ 算定要件を満たしていないう蝕処置を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 算定部位ごとに処置内容等を診療録に記載していない。(自主返還の対象)

○ ブリッジの除去に際して、算定できない歯冠修復物又は欠損補綴物の除去を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・算定できない切断の費用を算定している。
【加圧根管充填処置】

○ 根管充填を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 算定要件を満たしていない加圧根管充填処置を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・気密な根管充填を行っていない。

 ・複数の根管を有する歯において、一部の根管で気密な根管充填を行っていない。

 ・根管充填後に歯科エックス線撮影により根管充填の状態を確認していない。


【咬合調整】

○ 算定要件を満たしていない咬合調整を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 歯冠形態の修正を行った際に、修正理由、修正箇所等を診療録に記載していない。(自主返還の対象)


【機械的歯面清掃処置】

○ 算定要件を満たしていない機械的歯面清掃処置を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 歯科衛生士が機械的歯面清掃処置を行った場合に、当該歯科衛生士の氏名を診療録に記載していない。(自主返還の対象)


【口腔内装置】

○ 口腔内装置の製作方法と使用材料名について、診療録への記載がない例が認められたので、適切に記載すること。

○ 口腔内装置1を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 口腔内装置2を製作する際に、所定点数に含まれ算定できない咬合採得の費用を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)


【口腔内装置調整】

○ 算定要件を満たしていない口腔内装置調整を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 調整の部位、方法等を診療録に記載していない。(自主返還の対象)

○ 口腔内装置調整算定時に診療録に記載すべき内容(調整の部位、方法等)について記載の不十分な例が認められたので、適切に記載すること。

○ 顎関節症に対して、口腔内装置を用いた治療を行っている場合における症状、所見等の診療録への記載が不十分であり、診断根拠や治療経過が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。

○ 歯ぎしりに対して、口腔内装置を用いた治療を行っている場合における症状、所見等の診療録への記載が不十分であり、診断根拠や治療経過が不明確な例が認められたので、記載内容の充実を図ること。


【歯冠修復物又は補綴物の除去】

○ 算定要件を満たしていない歯冠修復物又は補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・歯根の3分の1以上のポストを有するメタルコアではない。

○ 算定要件を満たしていない補綴物の除去「3 著しく困難なもの」を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ ポンティックの除去を誤って切断で算定している例が認められたので、適切に算定すること。


【暫間固定】

○ 線副子を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ エナメルボンドシステムによる暫問固定を行ったものについて、算定できない装着に係る費用、装着材料を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ リテイナーを算定しているにもかかわらず、必要性の認められない暫間固定を誤って算定している例が認められたので改めること。


【歯周治療用装置】

○ 算定要件を満たしていない歯周治療用装置を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 重度の歯周病で長期の治療期間が予測される歯周病の患者に対して、治療中の咀嚼機能の回復及び残存歯への咬合の負担の軽減等を目的とするために装着する冠形態又は床義歯形態の装置に該当していない。(自主返還の対象)


【歯髄保護処置】

○ 間接歯髄保護処置を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)


【周術期等専門的口腔衛生処置1】

○ 算定要件を満たしていない周術期等専門的口腔衛生処置1を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・歯科衛生士の氏名を診療録に記載していない。


【創傷処置】

○ 抜歯手術後に、創傷処置(100平方センチメートル末満)を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)



(岐阜県保険医新聞2020年12月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第6回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

12 手術

【口腔内消炎手術】

○ 診療録に記載すべき内容(症状及び手術内容の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 算定要件を満たしていない口腔内消炎手術を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・症状及び手術内容の要点を診療録に記載していない。


【歯根嚢胞摘出手術】

○ 算定要件を満たしていない歯根嚢胞摘出手術を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・歯根嚢胞の大きさが歯冠大に満たないものに係る手術を、歯根嚢胞摘出手術「1 歯冠大のもの」としている。


【創傷処理】

○ 算定要件を満たしていない創傷処理を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・抜歯又は智歯歯肉弁切除等の術後、後出血を起こし簡単に止血(圧迫等により止血)できない場合以外である。



(岐阜県保険医新聞2021年1月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第7回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅰ 診療に関する事項

13 歯冠修復及び欠損補綴

○ う蝕処置後の歯冠形成について、誤ってう蝕歯インレー修復形成を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)


【クラウン・ブリッジ維持管理料】

○ 患者に提供した文書の写しを診療録に添付していない例が認められたので改めること。(自主返還の対象)


【補綴時診断料】

○ 補綴時診断料について、設計等の要点の記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 補綴時診断料について、診療録に設計等の要点記載が不十分な例が認められたので改めること。

○ 診療録に記載すべき内容(欠損部の状態及び設計等の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 算定要件を満たしていない「2 補綴時診断(1以外の場合)」を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・新たな欠損補綴及び有床義歯の床裏装等を行っていない。


【有床義歯】

○ バーの保険医療材料について、誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 有床義歯算定時に誤ってバーを算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ コンビネーション鉤について、誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 高齢者で根管が閉鎖して歯内療法が困難な場合等、やむを得ず残根歯に対して、歯内療法及び根面被覆処置が完了できなかった場合に義歯を製作した際に、その理由について、診療録への記載が不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 鉤の保険医療材料について、誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 義歯作製時に試適を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)


【有床義歯修理】

○ 有床義歯修理について、誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 算定要件を満たしていない有床義歯修理を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・修理内容の要点を診療録に記載していない。

○ 診療録に記載すべき内容(修理内容の要点)について、記載の不十分な例が認められたので、個々の症例に応じて適切に記載すること。

○ 診療録に記載すべき修理内容について、記載の不十分な例が認められたので改めること。

○ 8歯以下の局部義歯において、咬合高径を調節する目的で人工歯の咬合面にレジンを添加し咬合の再形成を行った場合に誤って有床義歯修理を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 9歯未満の局部義歯について、咬合高径を調整する目的で人工歯の咬合面にレジンを添加し咬合の再形成を行った場合、誤って有床義歯修理を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)


【その他】

○ 再装着を誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

○ 処置内容、診療方針について記載が不十分である。

○ 支台築造について、誤って算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)


14 その他

○ 算定要件を満たしていない著しく歯科診療が困難な者の特掲診療料に係る(100分の30、50、70)加算を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)

 ・当該加算を算定した日の患者の治療時の状況を診療録に記載していない。

 ・著しく歯科診療が困難な者に該当していないにもかかわらず、当該加算を算定している。



(岐阜県保険医新聞2021年2月10日号)


 
 【歯科】 個別指導での指摘事項 (第8回)

 協会は今年も、東海北陸厚生局岐阜事務所に対し、昨年度実施された個別指導における指摘事項を開示請求したので数回に分けて紹介する。日常診療やカルテ記載を見直す際の参考にしていただきたい。

Ⅱ 請求事務等に関する事項

1 掲示・届出事項等

○ 次の施設基準等について掲示を行っていない不適切な事項が認められたので改めること。

 ・有床義歯修理及び有床義歯内面適合法の歯科技工加算1及び2

 ・歯科疾患管理料の注11に規定する総合医療管理加算及び歯科治療時医療管理料

○ 次の届出事項について変更が認められたので、速やかに東海北陸厚生局岐阜事務所に届け出ること。

 ・保険医の常勤⇔非常勤の変更

 ・保険医の異動

 ・標傍診療時間の変更

○ 明細書発行に関する状況に係る院内掲示について内容が不十分な例が認められたので改めること。

○ 入院診療計画

 ・説明に用いた文書について、参考様式で示している病棟(病室)に係る項目への記載がない例が認められたので改めること。

○ 金属床による総義歯の提供の保険外併用療養費に係る療養について、東海北陸厚生局長に対して当該療養に係る費用等の報告が行われていないにもかかわらず、掲示を行っている例が認められたので改めること。


2 総論的事項

○ 診療録と診療報酬明細書において、診療内容、診療部位、病名について一致しない例が認められたので、保険医により十分照合・確認を行うこと。

○ 診療録と診療報酬明細書において、所定点数について一致しない例が認められたので、保険医により十分に照合・確認を行うこと。

○ 診療録と診療報酬明細書において、合計点数について一致しない例が認められたので、保険医により十分に照合・確認を行うこと。

○ 診療報酬の請求にあたっては、審査支払機関への提出前に必ず主治医自らが診療録と照合し、診療報酬明細書の記載事項に誤りや不備がないか確認すること。

○ 診療録と診療報酬明細書及び日計表において、所定点数、合計点数について不一致が認められたので十分に照合・確認を行った上で正しい診療報酬の請求を行うこと。

○ 一部負担金等

 ・一部負担金について、診療報酬請求に訂正が生じた場合、訂正後の一部負担金の調整が不十分な例が認められたので改めること。

○ 診療報酬明細書の記載

 ・特別な関係にある施設等に訪問診療を行い、初・再診料を算定した場合、「摘要」欄に歯科訪問診療を行った日付、実施時刻(開始時刻と終了時刻)、訪問先名(記載例:自宅、○○マンション、介護老人保健施設××苑)、患者の状態を記載すること。

 ・診療報酬の請求にあたっては、審査支払機関への提出前に必ず主治医自らが診療録と照合し、診療報酬明細書の記載事項に誤りや不備がないか確認すること。

 ・再診であるにもかかわらず、誤って初診料を算定している例が認められたので改めること。(自主返還の対象)



(岐阜県保険医新聞2021年3月10日号)