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入院中の患者の他医療機関受診アンケート
 「算定制限なくせ」が77%、患者の受療権の侵害にも

 協会は、昨年4月の診療報酬改定により改悪された入院中の患者の他医療機関受診について病院、有床診療所の開業医会員155人にアンケートを実施し、75人(48.8%)から回答を得た。アンケートでは今次改定に伴う返戻・査定の状況や他医療機関受診の具体的事例、あるべき方策の3つを尋ね、あるべき方策については77%が「入院、外来医療機関ともに制限なく算定できるようにすべき」と回答した。

 昨年4月の診療報酬改定で入院中の患者の他医療機関受診(以下「他医受診」)の取扱いが変更され、出来高入院料を算定する患者が他医受診した場合は入院料の3割を、包括入院料を算定する患者が他医受診した場合は、外来医療機関の算定項目により3割又は7割を減額することになった。さらに、包括入院料を算定する患者の受診日以外の投薬については外来医療機関との合議によりその費用を支払わなくてはならないとされた。
 なお、DPC算定病棟の入院患者の他医受診については、外来医療機関からはレセプト請求を行わず、DPC算定病院が掛かった費用を外来医療機関との合議により支払う取扱いが改定後も引き継がれている。

返戻・査定は今後増加する可能性も


 今次改定に伴う返戻の状況(Q2)は、13.9%が「あった」、84.7%が「ない」、1.4%が「分からない」と回答した。返戻理由としては「療養病棟に入院中の他医療機関受診で減額されていない」が最も多く、この他に「他医療機関受診が1日で算定されているが2日受診がある」「外泊時に他院を受診している」といった事例もあった。
 返戻に納得できたか(Q6)は、「納得できた」「納得できない」がともに30%となった。「その他」として「家人が訪問したケースについては、通常先方の無診察に問題があるかと思う。当方が減額されるのは疑問」との意見も寄せられた。
 今次改定に伴う査定の状況(Q4)は、「ない」が97.3%、「あった」はゼロであった。ただし、返戻・査定とも今後保険者点検によって増加することが予想される。返戻・査定が行われた場合には放置することなく、審査支払機関にその理由を確認し、納得がいかない場合には再審査請求を行うなどの対応が必要である。

他医受診について7割が「よくある」「たまにある」


 他医受診の状況(Q7)については、「よくある」が16.7%、「たまにある」が54.2%、「あまりない」が22.2%、「全くない」が6.9%となった。「よくある」「たまにある」を併せると70.9%に上り、「あまりない」「全くない」の29.1%を大きく上回った。


約8割が現在の運用に反対


 他医受診の具体的事例(Q8)については「当院にない専門科の診療が必要」との回答が圧倒的に多く、この他に「当院入院前にすでに診療予約してある」「総合病院・大学病院への定期受診」などの回答もあった。また、「虫歯、さし歯治療のための歯科受診」が数件寄せられたが、医科と歯科は点数表が異なるため、歯科、入院医療機関ともに減額にはならないので留意されたい。
 一方で、「入院中の家族が勝手に他医受診し、薬を受け取りに行くケースが多い」など、患者や家族の理解が得られず対応に苦慮している実態も明らかになった。詳しくは別掲をご覧いただきたい。
 他医受診の賛否(Q9)については、「賛成」がゼロ、「反対」が78.3%、「分からない」が15.9%となった。どのような取扱いにすべきか(Q10)では、「入院、外来医療機関とも制限を受けることなく算定できるようにすべき」が77.3%と「入院料の減算率を少なくする」(16.0%)を大きく引き離した。「その他」(6.7%)として、「家人が病院の許可なく他科受診しているケースは無診察として取り扱うべき」「患者の自費負担とすべき」との意見もあった。




議員、マスコミに現場の声を


 今回のアンケート調査により、他医受診なくしては現行の医療は成り立たないことがはっきりした。また、今回の不合理な点数設定を解消する方策として入院、外来医療機関とも算定制限なく請求できるようにすることが強く望まれている。協会は今後、この方向で要望をまとめ、県選出国会議員等に要請活動を行う方針である。寄せられた意見は現場の声として報告する。また、ただでさえ低額な入院料を根拠もなく減算する仕組みは患者の他医受診を困難にし、ひいては患者の受療権の侵害にもつながることをマスコミに知らせていく必要がある。

(岐阜県保険医新聞2011年2月10日号)


 アンケート調査詳報 
(数字は回答数、カッコ内は%)

Q2 今次改定で他医療機関受診の取扱いが変更されましたが、これに伴う返戻はありましたか。

 あった10(13.9)、ない61(84.7)、分からない 1(1.4)

Q4 今次改定で他医療機関受診の取扱いが変更されましたが、これに伴う査定はありましたか。

 あった0(0.0)、ない72(97.3)、分からない2(2.7)

Q6 返戻や査定は納得できる内容でしたか。

 できた3(30.0)、できない3(30.0)、分からない2(20.0)、その他2(20.0)

Q7 入院患者を他の医療機関に受診させることはありますか。

 よくある12(16.7)、たまにある39(54.2)、あまりない16(22.2)、全くない5(6.9)

Q9 入院患者の他医療機関受診の取り扱いをどうお考えですか。

 賛成0(0.0)、反対54(78.3)、分からない11(15.9)、その他4(5.8)

Q10 他医療機関受診はどのような取り扱いにすべきとお考えですか。

 入院、外来医療機関とも制限を受けることなく算定できるようにする58(77.3)、入院基本料の減算率を少なくする12(16.0)、その他5(6.7)

▼調査方法=病院・有床診療所開業医会員155人にアンケート用紙を送付し、昨年11月20日から12月15日までに郵送、FAXで回答してもらう方法で実施した。75人(48.4%)から回答を得た。


 他医受診の具体的事例 

・自院に専門診療科のない診療科受診が必要な時

・総合病院への定期検診

・胃瘻の造設及び交換

・当院には採用のない薬を処方してもらうため

・MRIなど当院に置いていない検査

・専門的医療方針を確認、指示をもらうため

・入院前より定期受診していた方の入院後の定期通院

・透析患者がシャント閉塞等で日帰り手術をする

・当院入院前にすでに診療予約してある時

・患者自身が希望した場合の転医前の受診

・当院に診療科があっても専門医がいないため

 自由意見 

・入院中の家族が勝手に他医療機関へ受診し、薬を受け取りに行くケースが多い。

・当院はDPC対象病院のため、お願いする医療機関に対して全額実費で支払いを行っておりますが、支出の面や事務手続きの煩雑さがあり、良い制度ではないと思われます。

・入院中に他院への受診について説明をしていても外出・外泊中に病院に無断で受診する場合がある。

・入院中、他施設に検査や診療を求めるのは当然。これに対して差をつけるのは言語道断。

・当院では精神科という性質上か患者様及び家族に他医療機関受診について何度説明しても理解していただけることは少ない。また、患者から他医療機関の受診の希望があり、主治医が診察し他医療機関受診の必要性の有無を告知しても納得せず、勝手に受診をしたり、当院が全く関知しないまま勝手に受診されてしまうケースが多く、全てを把握できない状況にある。