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【医科】遠隔診療アンケート結果
 国の推進策に4割が“判断しかねる”

 保険医協会が7月に実施した「遠隔診療に関する医科会員アンケート」で、政府が一般外来診療への遠隔診療拡大を検討していることに対して、「賛成、反対のどちらともいえない」との回答が40.6%となり、「反対」(38.2%)、「賛成」(17.1%)を上回った(図1)。
 遠隔診療については、業者から送付されるダイレクトメールやマスコミ報道などで一定認識されつつはあるものの、安全性や有用性の面など本質的な情報が不足しており、現場が判断しかねている実態が明らかになった。

 アンケートはファクス通信に登録している医科会員863人を対象に実施し、▽国が進める一般外来診療への遠隔診療をどう思うか▽遠隔診療について賛成、反対の理由は何か▽業者からのダイレクトメールにどのように対応したか-など6項目についてたずねた。また、自由意見欄への記載も求めた。7月10日から7月31日までの実施期間に251人(回答率29.1%)から回答が寄せられた。

最上位の理由に、
賛成「患者の負担軽減」、反対「対面診療の原則崩れる」



 国が一般外来診療において遠隔診療を進めようとしていることに対して「賛成」と答えた会員にその理由をたずねたところ、「患者の負担軽減になるから」が29件と最も多く、「時代の流れだから」(23件)、「医師の負担軽減になるから」(15件)、「その他」(8件)の順となった(図2)。「その他」の賛成理由として「対面は診察の一形態にすぎないと思うから」「通院には遠距離な場合、在宅で安定している場合は有用である」「自動販売機、アマゾンと同じでニーズあり」などが挙げられていた。
 一方、「反対」と答えた会員にその理由をたずねたところ、「対面診療が原則という医療のあり方が崩れる可能性があるから」が84件と最も多く、「見落としが心配だから」(60件)、「周辺産業が潤うだけだから」(29件)、「設備投資が困難だから」(19件)、「医療費抑制につながる可能性があるから」(16件)、「その他」(9件)の順となった(図3)。「その他」の反対理由として「肉眼で視診、触診することが大事だから」「国はセキュリティー、インテリジェンスの意味が全くわかっていないから」「薬物依存を助長する恐れあり。遠隔診療で処方された薬の転売が増えるのではないか」などがみられた。

DMへの対応、9割弱が連絡とらず



 遠隔診療システムを取り扱う業者からダイレクトメール(DM)が届いているかについては、「届いている」が51.8%、「届いていない」が47.0%であった(図4)。「届いている」と回答した会員にどのように対応したかをたずねたところ、88%が「無視している」と回答したが、「問い合わせをした」(6.8%)、「契約を検討している」(3.8%)との回答もあった(図5)。
 今回のアンケート結果は遠隔診療に関する会員の意識を把握するうえで大変貴重なものとなった。2018年度診療報酬改定に向けてマスコミ、県選出国会議員等との懇談資料として今後活用していく予定である。
 次号では自由意見欄に寄せられた意見を紹介する。

(岐阜県保険医新聞2017年9月10日号)