Contents
Home 
会長挨拶 
保険医協会とは 
医療制度改善 
協会の主張 
診療報酬改定 
医科研究会 
歯科研究会 
その他の行事 
保団連の書籍 
役員一覧 
事務所ご案内 

保険医新聞5月号主張

「保険でより良い歯科医療」署名で歯科医療危機の打開を
 歯科医療をめぐる情勢として、昨今、歯科医療はいままでにない危機に直面しているのではないだろうか。その理由として、①歯科医療機関に掛かれない患者・国民の増加、②歯科医療機関の経営状況において施設基準に対応できる歯科医院と対応できない歯科医院に二極化しつつあることである。

 一方で、政府の「骨太方針2018」では、「口腔の健康は全身の健康にもつながることから、生涯を通じた歯科健診の充実、入院患者や要介護者をはじめとする国民に対する口腔機能管理の推進など歯科口腔保健の充実や、地域における医科歯科連携の構築など歯科保健医療の充実に取り組む」と書き込まれている。しかしながら、国民医療費が増え続ける中で歯科医療費の総枠は増えておらず、平成29年度の概算医療費では6.9%にとどまっている。我が国の歯科医療制度は医療改革の位置付けとして高くなっていない。口腔の健康と全身の健康とは密接な関係にあることは、社会の共通認識であるにも関わらずである。

 先程述べたように、歯科医療を受けられない患者・国民が多数存在する現状は、医療の未曽有の危機と言えるのではないだろうか。

 協会、保団連では、様々な調査を行ってきた。受診実態調査では歯科は半数以上の医療機関で患者の「経済的な理由での治療の中断」を経験しており、学校歯科治療調査でも、「要受診者のうち5割以上が未受診者」「『口腔崩壊の児童・生徒がいる』と答えた学校が3割以上」との結果からも危機は明らかである。

 極論すれば、私達歯科医療従事者が診ている患者は「一部負担金が払える」「通院時間が確保できる」など通院が可能な患者でしかないと言える。受診抑制につながっているのは「格差と貧困」の広がりとあわせて、患者負担の増加が大きな原因であろうことは明らかである。

 受診できない患者・国民の存在をこのまま看過して良いのだろうか?今こそ、いや、これからも、全国どこでも、誰でも、保険証一枚で安心で良質な歯科医療を受けられる医療保険制度こそ、求められる最重要課題であることを強調したい。

 また、低く抑えられた技術料により歯科医院経営は逼迫しており、歯科医療の充実の費用は、国の責任で確保していくことも切に望みたい。

(2019-05)