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保険医新聞1月号主張

開業医・歯科医が「いきいきと健康に働くために」
 働き方改革関連法が施行されたが、医業に従事する医師の適用は除外され、「今後は、医師の働き方改革に関する検討会における結論を踏まえて措置する」とされているが、議論されているだけでいっこうに結論は出そうもない。また、開業医師・歯科医師は経営者に位置づけられ労働者でないため、働き方改革の対象外で我々は蚊帳の外である。

 保団連や各協会でも勤務医だけでなく、開業医師・歯科医師の働き方についての調査が始まり、議論されるようになった。昨年の保団連医療研究フォーラムにおいて、大阪府保険医協会、歯科保険医協会が「開業医・開業歯科医の働き方調査」を行った結果が報告された。開業医師においては、6割超の医師が週40時間以上働き、週60時間超も2割に達しており、過労死ラインを超えていた。多くの医師が休日も少なく仕事が過量で疲弊していると回答しているが、それでも7割の医師が仕事にやりがいを感じ、9割の医師が仕事に愛着をもっていた。しかし、医業を子供に継承したくない医師が過半数を超えていた。また、業務が忙しく健康状態を気にしている時間がなく、検診を受けてない医師が約4割弱に達していた。そして、患者数が減ったと答えた医療機関は約4割、医業収入が減ったと回答した医療機関も4割を超えていた。診療以外の業務、従業員管理、書類整理などの本来の業務でないものにストレスを感じるとの回答が多かった。

 開業歯科医においても、7割超の歯科医師が週40時間以上働き、週60時間超も2割弱であり、過労死ラインを超えていた。開業歴が浅いほど標榜時間が長い傾向にあった。また、3割の歯科医師が仕事にやりがいがなくなっていると回答する一方、8割超が仕事に愛着をもっていた。子供に継承したいかの質問には六割が継がせたくないと回答している。やはり、歯科医師も診療以外の業務、従業員管理、書類整理、ローンの返済などの本来の業務でないものにストレスを感じるとの回答が多かった。そのためか、60代でリタイヤするとの回答が3割を超えていた。

 以上より、我々医師・歯科医師が「いきいきと健康に働くため」には、経営の安定と長時間労働からの脱却が必要である。それには、①労働時間や人件費に見合った診療報酬の大幅な引き上げ②診療内容、材料価格に見合った点数(材料価格の高騰・消費増税に対応できず赤字)③診療・事務労働時間の軽減④診療報酬改定の複雑化の改善、届け出・レセプト業務、書類作成業務の軽減⑤健康診断に行ける時間の確保が必要と考えられる。「働き方改革には関係ない」と、指をくわえて見ているのではなく、この現状を政府に訴えていく必要がある。

 このままでは、診療業務に疲弊して医療崩壊してしまいます。診療報酬の大幅引き上げ、届け出・レセプト業務の簡素化などを訴えていきましょう。今後も協会活動および署名活動に、是非ご協力をお願いいたします。

(2020-01)