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保険医新聞6月号主張

オンライン診療のなし崩し的解禁の中止と
  診療報酬の大幅な引き上げを
 非常事態宣言は解除されたが、再流行の懸念など新型コロナウイルス感染症に終息の兆しは見えてこない。第一線医療を担う医療機関では、医療安全対策や院内感染予防対策が求められているが、感染予防の物品の不足が深刻化しており、ままならない状況である。マスク・消毒薬の供給は、協会で行った「マスク・消毒用アルコールに関する緊急アンケート」と「行政に対する要請」により、多少改善傾向にあるがまだ十分ではない。N95マスク、防護服、フェイスシールドなどは全く足りていない状態である。政府は、診療報酬でサポートするために、外来で感染防止対策を講じた上で、新型コロナウイルス感染患者を診療した場合、施設基準を満たしていなくとも「院内トリアージ実施料」(1回300点・疑い含む)の算定を可能としたが、日々努力している日常診療における感染症対策に対しても報酬などで評価するべきである。

 診療報酬に関しては、今回実施した「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート」によると外来患者が減ったとの回答が、医科歯科共に約90%、保険診療収入も医科歯科共に約90%の医療機関で減ったと回答があった。来院抑制やキャンセル、訪問診療の拒否、電話投薬などにより受診患者数、保険診療収入共に減少しており、事態が長期化すれば経営困難による医療崩壊に繋がると考えられる。閉院を考えている医療機関が出てきており、早急に診療報酬の大幅な引き上げや患者受診抑制への対策が望まれる。

 また、臨時特例的に電話や情報通信機器による診療が認められた。対象疾患の変更、診察料の徴収の複雑さ、初診は原則対面診療を撤廃した際の悪影響、コロナウイルス感染が疑われる場合についてはオンライン診療を行うことができないことなどを十分議論し周知徹底をせぬまま見切り発車したことで、医療現場は対応に追われ大混乱を起こしている。その後取ってつけたように歯科でもオンライン診療を解禁した。診察時の情報量が少なく、ビデオ画像や音声から得られる情報は限られている。全身の状態を把握することができず重症化の兆候を見逃す危険性や、患者が想定している病気以外の症状を見落とす恐れがあり、患者にとっては不利益である。協会のアンケートでは受診を控えたことによる疾患の悪化もあると報告をうけた。この騒動の中どさくさまぎれに導入し、受診抑制を誘導して医療費の削減をめざしているとしか思えない政策である。医療は原則対面診療、フリーアクセス(応招義務)の原点に立ち返るべきである。オンライン診療のなし崩し的解禁は即刻中止すべきである。

 この度は、「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関する緊急アンケート」にご協力いただきありがとございました。保団連および岐阜協会では会員の皆様の苦労を知り、行政に訴えていくため、今後もアンケートを行っていく予定ですのでご協力のほどお願いします。

(2020-06)