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保険医新聞7月号主張

 荒れた通常国会、命を守る政策とは
   来たる衆院選で真の民意実現を!
 2021年通常国会は、医療界にとって悪い意味での「歴史的な国会」となりました。新型コロナ感染症の波が日増しに強くなる中、医療の領域に限らず、政府与党の数の力で不要不急の「悪法」が数多く可決してしまいました。  我々が以前より強く中止を求めていた「75歳以上医療費窓口負担2割化法案」(正式名「健康保険法改正案」)は各団体合わせ、反対署名は100万筆を超えていたにもかかわらず、政府与党はその声を圧殺し採決を強行しました。また社会保障充実の原資のはずの消費税を使って「逼迫している病床」の削減をさらに推進したり、過労死ラインの労働を前提にした医療提供を推進しようとする「医療法等改正案」は、コロナ禍という状況を全く無視した暴挙です。そして政府の強権化、緊急事態条項の設置などを目的とした性急な憲法改正へと繋がりうる「国民投票法改正案」なども可決されました。

 今、社会は強力な変異株の拡大により、一段と危機にさらされています。「空気感染」の様相をなしてきたウイルスに立ち向かうためには、地域の感染状況に迅速に対応し、職場学校を含めた早急なロックダウン判断と、PCR検査体制の拡充や補償の充実を行う必要があります。審議に審議を重ね、国民に寄り添った政治が行われるよう、国会や地方議会は開かれ続けるべき状況です。政治が今こそ市民のために力を発揮すべき時のはずです。しかしこの通常国会は6月16日をもって、閉じられてしまいました。政治の役割とは、いったい何なのでしょうか。

 現政権は総じて、憲法が保障する「国民の生存権」が侵害されている現状を顧みることなく、目の前の困窮する人々に手を差し伸べることなく、その権力だけをさらに肥大させていこうとしています。我々の医療運動も前述の通り、先生方のお力添えでかなり大きな波を作り出して参りましたが、現状では与野党の議席の差が非常に大きいこともあり、これらの法案の可決を許してしまいました。しかし決してこれで終わりではありません。我々は敗北したのではありません。

 なんのための政治なのか。そして我々はなんのために医師、歯科医師として、生涯をこの仕事に懸けているのか。「医療」とは、とくにこのパンデミック下で「人の命を守る」とは、まさに政治的行為そのものです。9月には衆議院選挙が控えています。真に我々市民の願いが届く社会となるよう、今までもそしてこれからも、我々の医療運動を前進させていく必要があると考えます。

(2021-7)