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保険医新聞5月号主張

 2022年診療報酬改定
 医療費総枠拡大と事務負担の軽減を
 4月の診療報酬改定は、新型コロナウイルス感染症による影響で、大多数の医療機関での収入が大幅に減収したにも関わらず、実質マイナス0.94%のマイナス改定となった。

 主な内容としては、救急医療管理加算を算定する救急搬送件数が年200件以上の病院の看護職員の処遇改善にプラス0.2%、不妊治療にプラス0.2%、リフィル処方箋による受診抑制でマイナス0.1%、乳幼児感染予防策加算の打ち切りでマイナス0.1%、薬価引き下げでマイナス1.37%であった。コロナで疲弊した医療を改善するには医療費の総枠拡大しかないと考えられるが、ほど遠い内容であった。

 今回の改定で実際の現場で問題となっている点は多いが、その一つとして、相変わらず周知徹底期間が短いことだ。4月20日までに届出をしなくてはならない項目が多いにもかかわらず、詳細が4月以降も明らかにならず、混乱をきたしている。この問題は何度も当協会から訴えているが、やはり充分な周知徹底期間を設けるべきである。また、情報通信機器を用いた場合の点数、機能強化加算の施設基準、外来感染対策向上加算の条件や届出方法、リフィル処方箋のことなど、詳細の説明がないまま新たに開始された。新しいことを求めるのであれば、事前に詳細を示すべきである。現場は混乱し、協会にも問い合わせが後を絶たない状態であった。

 歯科においては、感染対策で基本診療料が若干引き上げられたが、歯周基本治療処置の廃止・包括によるもので、プラスとは言いがたく、感染症対策に要する費用は初診料・再診料に上乗せするべきである。さらに、ウクライナ情勢を受けて金パラは高騰し、現行制度の枠内での緩和策では急激な価格変動に対応できず、逆ザヤは拡大するばかりである。抜本的な制度改革が求められる。その他には、オンライン資格確認システムを活用した評価として電子的保健医療情報活用加算が新設されたが、歯科の場合はオンライン請求をしている医療機関が医科と比べ少なく、急遽点数化されることが決まったため、システム構築に時間がかかり混乱をきたしている。マイナンバーカードありきのシステム使用の評価は慎重にすべきであると思われる。

 今回の改定は、感染防止と治療に忙殺され疲弊しきった医療機関に、膨大な改定内容に伴う作業や事務負担を押し付けるものであり、このような改定は許しがたい。この夏に行われる参議院選挙に向けて、協会としては、この診療報酬の不合理の是正や医療費総枠拡大を訴えていきたい。

(2022-05)