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保険医新聞7月号主張

医療界の声が届かぬ通常国会
~来たる総選挙で民意を示そう~
 今国会、令和5年の通常国会(第211回国会)では、与党自民党らの強権的な議会運営によって、審議も不十分なまま次々と問題のある法案が可決してしまった。医療機関へのアクセスが困難となり国民皆保険の崩壊に直結しうる「保険証廃止法案(マイナンバー法等改定案)」、JCHOや国立病院機構の積立金までも強制転用し兵器購入の費用に充てようとする「軍拡財源法案」、強制送還をすれば命に係わる外国人に対する出入国管理庁の権限強化を目的とする「入管法改正案」、そしてひとたび事故が起これば取り返しのつかない命と生業と国土が失われる原発の再推進を法で義務付ける「GX(グリーントランスフォーメーション)電源法案」などである。

 特に問題となる「保険証廃止法案」においては、全国保険医団体連合会(保団連)副会長でもある当協会の竹田智雄会長が、5月17日に参議院特別委員会での参考人質疑に出向き、医療や介護の現場に起きうる様々な懸念を伝えた。保団連も集会を3月23日、4月27日、5月18日、6月1日に、各協会でのオンライン資格確認トラブル事例アンケート結果に基づく記者会見を5月29日、同31日、6月4日、同9日、同21日に行い、深刻なトラブルの実情を訴えた。残念ながら6月2日、参議院本会議で採決が強行され法案は可決してしまったものの、その後マイナカードのずさんな運用実態はメディアに大きく取り上げられ、不安の声は一気に高まった。「法案成立後に」社会問題化するというのは、リアルタイムに国会議事を伝えきれていない最近の報道機関の機能不全の側面も大きい。

 審議においては一部与党議員からも医療・介護の現場の実態を知り驚きの声が上がっていた。しかしそれでもなお問題のある法案が次々と採決強行されてしまう理由としては、やはり政治の「議席バランス」の問題、行き過ぎた「官邸主導」の弊害なのであろう。岸田首相はさらに今後のデジタル化推進と称し、「電子カルテの共有化」などの方針を打ち出した。「声を聴かない政治」によって今以上に現場は翻弄され、最悪の場合には閉院まで追い込まれる。そうした事態を防ぐには、医療者が今以上に一致団結し、患者さんを含め世論喚起をし、国会に対して「徹底した熟議」を求めていく以外に方法はない。

 当協会は会員の実態調査アンケートや記者発表などを一層活発化させ、より良い医療現場、より良い社会の構築のために、これからも活動していく所存である。そして来たる総選挙ではこうした民意がきちんと反映される結果になることを望んでやまない。

(2023-07)