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5月調査「オンライン資格確認 導入調査」報告

利用者少なく、運用コスト負担、情報漏洩も心配
アンケートに寄せられた声
 政策部は、昨年10月から本格運用の始まったマイナンバーカードのオンライン資格確認について5月下旬に導入調査を行った。今回は、アンケートの自由意見欄の意見を抜粋して紹介する(回答率17.4%)。

問2)マイナンバーカードによるオンライン資格確認導入の懸念に寄せられた意見


マイナカード利用で患者の自己負担が増える

・ マイナンバーカードを利用すると患者の自己負担が増える。負担増に見合う患者のメリットが説明できない(薬剤情報や特定健診情報結果は患者本人に見せてもらっている)。(医科、60代)


運用コストの負担が重い

・ 光回線がなく、ケーブルテレビを利用するためコストがやや高くなる。(医科、50代)

・ ORCAなどレセコン管理会社、カードリーダーメーカー、NTTの3社に毎月維持料(保守料)を払う、というシステムはおかしい。(医科、40代)


マイナカードが普及していない

・ マイナンバーカードが全国民に普及する事。少なくとも80%以上。(医科、60代)

・ マイナンバーカードの本当の狙いは何でしょうか。膨大な金額を注ぎ込んで、もっと使うべきことがあるはず。(歯科、60代)


管理情報の拡大・漏洩が心配

・ 高齢者の受診も多く、マイナンバーカードを安全安心に扱うのは難しい。保険証確認でほぼ問題ない。(医科、60代)


患者への利用案内を

・ 昨年末より運用しているが、今までに利用した人は2~3人しかいない。興味を持ったり、マイナンバー受付について質問される事もほとんどない(院内には沢山掲示してある)。(医科、60代)


保険証の廃止、一本化を

・ 保険者によってフォーマットがバラバラの保険証の廃止は賛成。マイナンバーカードがダメというなら統一医療番号でも導入して一本化してもらいたい。医療情報(薬と特定健診情報)には期待したが、情報の更新にあまりにタイムラグがありすぎて利用価値がない。(歯科、40代)


導入補助金が少ない

・ 導入する医療機関に自己負担金があるのはおかしい。役場のマイナンバーカード関連はすべて税金が使われるのに。(医科、50代)


その他

・ 狭い作業スペースに物が増えて困る。(医科、50代)


問 4)オンライン資格確認の本格運用にあたっての具体的なトラブル内容


レセコンと相性が悪い、レセプトが送信できない

・ パナソニック製(縦置き型)とレセコンとの相性が悪く、ネットワークエラーや機器表示がうまくいかない。連日あり。(医科、50代)

・ レセコンのトラブルが多発しています。速度が遅くなる。カルテが開かない。レセプトが送れない。(医科、50代)

・ 顔認証を用いた際に、うまく読み取れない方がみえた。(医科、40代)


業者が導入指導をしてくれない、手続きが煩雑

・ 電子カルテ(MyProdoc)が導入指導をしてくれず、自分でするように言われ準備できていない。(医科、60代)

・ 手続きが煩雑で遅れていること。(医科、50代)


登録データがない、更新が遅い

・ データがない。正確でない。更新が遅い。登録時の全角半角などフォーマットに統一性がない。(歯科、40代)

・ 文科省など国立系の保険データは存在していない。保険情報なく、オンライン確認不可。運用開始以来データが更新(登録)されない。オンラインで毎回「資格がない」と結果が出てくるので、受付時対応に困る。国の機関なのに運用に参加しないのか疑問。患者さんや保険者に確認しなければならず、登録がないと逆に手間が増えて仕方がない。(医科、60代)


患者トラブル「マイナンバーカードを渡され、『これでやって』」

・ 患者さんがマイナンバーカードを持ってきて、「これでやってくれ」という方が多くて困る。保険証との紐付けをしていない。説明しても理解してもらえない。(医科、50代)


問5)マイナンバーカードによるオンライン資格確認で“困っていること”“改善すべきこと”


マイナンバーカードの普及、患者への利用案内、利用者が少ない

・ マイナンバーカード普及が少なく利用者が少ない。医療機関のメリットがないに等しい。患者さんの中でも詳しく知っている人は“医療機関が儲かるだけの制度だ”と言われた。(医科、60代)

・ 患者が高年齢のためマイナンバーカード使用について理解できず、対応できない状況が続く。管理のセキュリティにも問題。(医科、60代)

・ 保険証持参がなく、マイナンバーカードのみ持参する人がこれまでに1件あった。(医科、60代、未実施の医療機関)


接続トラブル、導入トラブル

・電子カルテが遅くなった。(医科、40代)

・ とにかく遅く、面倒。また現場に負担をかけ、レセコン業者たちが便乗して余分な商売をしようとする。(医科、50代)

・ カードリーダーは来たが、レセコン改修が遅く消極的になってしまった。全く進んでいない。(医科、70代)


患者・医療者とも、導入メリットを感じていない

・ 今のところ困ったことはない。患者さんの希望者も現在いません。(医科、60代)

・患者さんがメリットを感じてない。(医科、60代)

・ 登録データがほとんどない状態で、患者情報を活用できる状況にない。(医科、60代)

・ 受給者証(乳、重、母)や難病公費など、マイナンバーとは別に確認が必要となるため、患者がマイナンバーだけ持参すると困る。公費分も確認できるようにしてほしい。(医科、60代)


医療機関にもコスト増

・ カードリーダーは無料。しかし薬剤情報を知ろうとすると新たにPC導入し、ソフトを購入しないとできない。最初は無料と言われていたが、実際には費用がかかる。腑に落ちない。(医科、60代)

・ オンライン資格確認で利益があればよいが、今のところコストが高くかかり利益がないような気がする。(医科、60代)

・ 電子カルテに直接取り込もうとすると電子カルテのバージョンアップが必要で、さらにお金がかかる。乳児医療や他の制度も考えるとやっぱり、マイナンバーカードのみではダメなようで使い勝手が悪そう。(医科、60代)

・ 診療所は1台無償提供だが、当院は患者数も多いため2台は設置したい(マイナンバーカードの普及率と使用数にもよるが)。(医科、40代)

・導入費用も維持費も無料にすべき。(医科、50代)


オンライン資格確認で患者負担が増える

・ 導入は出来たが運用は出来ていない。現在のところ、需要がほぼなく、運用開始によってほぼ使用していない状態なのに、患者さんの料金だけがUPする状況となりかねないため運用開始のタイミングに困っている。(医科、40代)

・ 普及しそうな気配がない。マイナンバーカードを使用しての診療であれば保険点数が低くなり、支払が少なく済むくらいのメリットをしばらく患者側に与えないと普及しないと思いますが。(医科、40代)


便利な面もある

・ マイナカードの利用はなく、保険証の資格確認のみだが有効か分かるメリットはある。(医科、60代)


(岐阜県保険医新聞2022年10月10日号)